小規模多機能型居宅介護は地域密着型サービスであることが特徴的です。地域密着型サービスというのは、サービスを提供する事業者の所在地と同じ自治体に住む方が利用できるサービスのことです。住居を移すことなくサービスを受けられ、介護のための引っ越しが不要なところが魅力です。
多機能という言葉がつく通り、小規模多機能型居宅介護は様々なサービスをひとつの事業所で受けることができます。具体的には、「通所」「訪問」「宿泊」です。
「通所」というのはデイケアやデイサービスなどの介護施設に通って必要な介助が受けられる介護サービスのことです。レクリエーション、リハビリ、食事、入浴、排泄などの介助を受けることができます。自宅にいながら利用でき、送迎も含まれますので利用者はもちろん家族の負担も少なくて済みます。
「訪問」は介護士が自宅に来てくれて日常生活に必要な介助をしてくれる介護サービスのことです。介護施設に抵抗がある人や移動が難しい人でも利用しやすいのが特徴です。
「宿泊」は介護施設に短期間入所して必要な介助を受けられる介護サービスのことです。
普通はこれらのサービスは別々の事業者が提供しておりそれぞれ個別に契約しなければなりませんが、小規模多機能型居宅介護はひとつの事業所で全部のサービスが受けられるためとても便利です。
小規模多機能型居宅介護は宿泊のサービスも提供しているので24時間対応が可能です。通常、訪問や通所のサービスは日中に行われ、夜間は対応していません。しかし小規模多機能型居宅介護では、宿泊を組み合わせることによって夜間も利用することができ、日をまたいで介助を受けることが可能となります。宿泊のサービスをうまく利用することで利用者だけでなく家族にかかる負担も軽減できます。
利用料は定額制がほとんどです。どのサービスを組み合わせても定額で利用することができるため、介護保険の利用限度額を超える心配がありません。要介護度にもよりますが、1ヶ月の自己負担額(1割負担の場合)は、要支援1が3,418円、要支援2が6,908円、要介護1が10,364円、要介護2が15,232円、要介護3が22,157円、要介護4が24,454円、要介護5が26,964円です。要介護度が進むと利用料が上がります。重度の介護が必要な人も利用できますが、自己負担額が高くなるので注意してください。なお、宿泊費、食費、おむつなどの日常品費は含まれていませんので、別途必要となります。
介護が必要になっても住み慣れた自宅で過ごしたい、と考えている高齢者は少なくありません。小規模多機能型居宅介護を使えば中重度の要介護状態でも「通所」「訪問」「宿泊」を柔軟に組み合わせた介護サービスが受けられるので、在宅生活を続けることができます。